とりなきうおのめはなみだ

冬過ぎ春行きもはやお中元選びの時期になってしまいましたが、半年も寝かせていたものがやっっっと完成したので久しぶりにpixivに漫画を投稿してきました。

【賢者たち】

O・ヘンリーの短編「賢者の贈り物」が昔からなんとなく好きなので雰囲気程度にオマージュしています。国産の小説がどうにも肌に合わなかったのもあって、多感な十代前半の頃に英・米あたりの小説ばかり読んでいた感覚が今でも自分の感性や嗜好に影響を与えている気がします。特に青い鳥文庫は翻訳もよくて好きでした。

もう変わってしまったけどこの上品な表紙絵も好きだった

昨年からpixivに投稿を始めてからというもの、漫画や絵を季節に連動させながら描いて上げていく試みをしてみたりもしており、今回の話こそどうにか季節に合わせて完成させたいと思っていた話でした。見ての通り無理だったのですが……
心底無念です…よりによって夏に冬の話を上げるなんてお笑いレベルの後の祭り、他がずれてもお盆とこの年末の話だけは時期に合わせるべきだったような気がしている…
Splatoon2の二次創作で漫画を描くならぜひやっておきたいと思っていたのは、「シオカラ節とイカの人生観(尋魷記)」「ネル社事件後の8号(待ち人)」「好きな曲のイメージを元にした話(野に在りては)」そして「4号とはどういう子か:これまで描いた漫画を経ての今回の話」でした。Splatoonというシリーズの主人公が賢くも脆くて儚い頭足類の若者であるという設定をうまく話に活かしたいなというのは常々思っていることです。骨を持たない彼らにとっての頭蓋骨に代わるvanitasの象徴物として、貝殻モチーフを度々絵や漫画中に登場させてきてみました。

Unsung hero

pixivに来て、画面下に表示されていく関連二次創作作品をつれづれなるままに巡ってみて、一番印象的に感じたのは3号・8号の人気の強さでした。前作をやってないため3号というキャラをあまり把握していないまま描いている自作の漫画でさえも、その影響からか定かではありませんが3号が登場している話は閲覧数が妙に高くて驚きおののかされます。前作の主人公が愛され続けているのはシリーズ作品として理想的なことだし、8号はこのシリーズの方向性を決定づけた重要なストーリーのプレイヤーキャラでありビジュアルもキャッチーなので注目を集めるのもよくわかります。3号8号には設定や物語上の絡みもあるし、公式からのイラストではよく一緒に描かれてもいる。ファイナルフェスは両者ともに同じ秩序側だったし。

…では4号は?

同時に感じていたのは、2のストーリーモードの主人公でありプレイヤーの分身であるはずの4号の意外なほどの影の薄さでした。公式のショートのイカガールというビジュアルや大まかな設定は存在するものの、プレイヤーそれぞれに姿性格の設定が自由で、多様性があるばかりに趣味趣向が細分化されたゆえなのかもしれない。
4号は誘拐されたナマズとアオリの奪還・ハイカラスクエアの復旧という大仕事を達成したのに、その後に登場した8号のSF的大立ち回り(復活を目論む旧人類の遺産にトドメを刺し世界を守る!)のインパクトに食われてしまっている印象もありました。身軽にライドレールを乗りこなし、ブキチリクエストに応えてどんなブキでも使いこなす器用なイカ4号…というイメージも、8号が全く同じ条件を満たしてしまったし。その結果、他キャラに比較して公式から供給される情報の少なさばかりが目立ってしまうに至った気がする…。

そういうわけで、なんとなく私は4号に同情していました。せっかく色々な任務をこなしたのに、より難度が高くてシリアスなあれやこれやを8号が達成してしまっていて、しかもNew!カラストンビ部隊(&タコ陣営+テンタクルズ)の面々の中では一番部外者に近いという。先輩方はすごい存在、一番仲のいい友達(※独自設定)は義務教育で戦闘訓練も受けた才能ある強者、かたや自分は適当にスカウトされた留守中の先輩隊員の代理人。徐々に芽生える劣等感・疎外感との内なる闘い、アイデンティティ模索の時期である思春期にこの状況、イカはそんなこと気にしたりしないかもしれないとは思いつつも、自分だったら相当しんどいな…と思って勝手に肩入れしていたのでした。
で、公式情報や描写の少なさから想像の余地が大きく残されているのをいいことに4号というキャラを掘り下げてみたい、誰がなんと言おうとお前は確かにヒーローなのだと言ってやりたいと思い、四苦八苦しながら慣れない漫画なんかに挑戦してみたわけです。いちいち動機と副産物が重いんじゃ。

色々つらい今の世の中

最後の方の4号のモノローグは自分が生きる上で大事な気がしていることでもあります。
もう今の世の中インターネットが行き渡ってしまっていて、他人と自分を比べるなというのはもはや無理な話となっているし、むしろあらゆるものが一覧化・数値化されて第三者が「優劣」を判断するのが簡単にもなっています(私はこれは雪だるま式の集団心理によるものも大きいように感じいつも疑っていますが…みんな流されてないでもっと自分の感覚を信じていけよ)。まったくのお節介ながら私はそういう時代に生きている青少年の自己肯定感の所在を心配に思うところが大きい。どう解釈しようとしたってもう、ありのままの自分でいい、生きているだけで偉いんですよなんて言葉を素直に受け取れるような心の余裕は私にもありません。

人が自己肯定感を得て得意分野の能力を伸ばすには、「自分はこの集団で/クラスで/学校で一番○○が上手い」レベルの鶏口牛後で自信過剰めな勘違いが必要だと感じているのですが、現代においてそれってもはや難しいことになってきているのではないかと思うんですよね…。つくづく自分は生活にしろゲームにしろ、ネットがデフォルト装備の環境で子供時代を送ることがなくてよかった。もし自分が年端もいかない子供の頃にSNSのような同年代の人間が作ったものを無限に見てしまえるツールがあったらば、自身の実力を悟って早くに筆を折って今頃全く違う道に進んでいたかもしれない。

…いや、生来の他人への関心の薄さから我関せずとばかりにやっぱり同じことしているのかもしれないけど…

とにかく特に秀でるものも持たない自分が今、無数のプロが集うSNS上に描いたものを投稿している行為も、子供時代の勘違いの賜物だということは確信を持って言えるのです。特に、趣味を同じくする年の近い人たちと出会い交流して刺激をもらうきっかけにもなり、常連イラスト投稿者としてファイリングまでしてくれた今はなきゲーム情報誌には本当に感謝しています。

私の宝物だ…
(ハンドルネームの年季よ…)
結びに

で、漫画の話に戻ると…
自分の存在価値や居場所を見失いそうなときに何を思うべきかといったら、身近にいて応援してくれたり、オフの姿を見てくれている人の存在だと思うんですよね。自分の人柄や趣味生活も知らず言葉を交わしたこともない不特定多数よりも、多くを知っていてなお支えてくれている存在を意識しておいた方が絶対にいい。誰かに大事にされた経験は自己肯定感となり自信となり勇気になるものだろうから。客観視が求められがちな世の中だけど、主観というか自分が受けた印象も同じくらい大事にした方がいいと最近とみに感じます。詩人である8号はそういう面でもメンタル強そうだなと思う(唐突な自キャラ分析)
まあだいぶきれいごとの精神論なんだろうけど、自身の精神衛生を守るための方法は持っておくに越したことはないよということで…意見には個人差があります、異論は認めます。
以上をもちまして持論展開を終わります!ご清聴ありがとうございましたァ!

あわせて聴きたい(自分が)

Fine On The Outside – Priscilla Ahn

キャプションに書いてあるのはこの曲です。内向型の十代らしい憂鬱がよく表れていていい歌(『思い出のマーニー』も良ジュブナイルでおすすめ…)

そしてこれも一緒に紹介しておきたい↓
ひとりぼっちじゃない – Coba & 宮沢和史

子供の頃聴いた時は単純にラティオスが歌ってるようで異国情緒もあっていい曲だなーと思っていたけれど、歳とってから聴くと改めていい歌詞だなと思います

そしてこれは今回の作業中によく聴いていた曲↓
I Wish It Would Never Stop Snowing – Sleepy Fish

この作家の曲名付けはおそらく無作為っぽいのですが、それでもタイトルと曲調の雰囲気がちょうどよく感じて表紙の場面とか描くときにお世話になりました

今後の話

一般人のモブであるタコボーイ(メジロ)が登場人物として加わったきっかけは、2020年に描いてあった気まぐれにタコボーイを使ったときのプレイ中の思い出4コマからの流用だったのですが、話の中で4号の人となりイカとなりを描くのにいい働きをしてくれたなと思います。特定の集団の外にいるときのキャラクターのオフの描写って大事だなと思っているので。

新しく友達と自己肯定感を得られてよかったね、めでたしめでたし!という具合に当初はここで4号の物語を終わろうと考えていたのですが、まだ4号はこの異種族の友達にうしろめたく感じる隠し事を残しているので、それを告白する話を最後とするべく続きを描く作業を進めます。
これで4号が隊員としての自分の肯定感を得てまとまったのに蛇足になるかな、何もかも打ち明けることが本当の友情とは思わないし…とあまり描くつもりはありませんでしたが、昨年10月のネタメモ落書き投稿のコメントで気になるというお言葉をいただいたのをきっかけに考えてみると案外うまいことつながったので、長丁場になりそうですが今の自分の思考や表現模索の記録としてもやりきりたいと思います。プロットが長めになったため上・中・下の3部構成となります…我が事ながらできるのかよそんなことが、という感じですが自分もこれが完成した瞬間を見たいので頑張ります。そのときようやく地味に増え続ける日記絵の内容も伏線の一部として本筋に活きる…ことになる…のではないだろうか。9/9のSplatoon3の発売までには間に合わない気がしてなりませんが、次に進むためにもこの私的な別れの儀式はちゃんと終わらせておきたい。
Jevenile cephalopods’ 中学生日記… 私は遠い未来の悩める若き生き物達が試行錯誤の果てにそれぞれの答えを見つけて楽しく生きてゆけることを祈る者である(重い)

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